すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

小説

富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。(5)

ゆっくりと彼女の背中をさする。華奢な彼女の身体は、頬っておいたら壊れてしまいそうだ。 元々、友達もいなかったし、一人っ子だったし、小さい子の面倒なんてみたことない。 自分の子供がいてもおかしくない年頃だけど、子供の扱い方なんてわからない。 わ…

富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。(4)

第三話 やっぱり砂糖は甘いし、コーヒーは苦い。ビールはもっと苦い。 大人って楽しいもんだと思ってた。 だって、私の周りにいた大人っていっつも笑ってたし、苦しい顔をしてる人なんて一人もいなかった。 だから、大人になれば無条件に楽しい毎日になるん…

富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。(3)

「んきゅっ……」 彼女が小動物のように鳴くのを聞いて、私もなんだか息苦しくなってくる。 苦しい。気持ちいい。苦しいって気持ちいいんだ。本当にど変態怪獣だな、私は。もうどうしようもないや。 口ってあったかい。これだったら湯豆腐と一緒だね。彼女が声…

富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。(2)

第二話 耳と唇と豆腐だと、どれが柔らかくて美味しいのでしょうか。 口笛はなぜ遠くまで聞こえるの、あの雲はなぜ私を待ってるの――、ぶっちゃけそんなことはどうでもいい。 切実に私が知りたいこと、それは、なんで私は悪い夢ばかり見てしまうのか、ただそれ…

富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。(1)

第一話 富岡さんはきっと脱法的なアレなんだ。 ご飯粒が食べたいと思った。 なにー? ダイエット中? そんなに日頃、おなかすいてるの? だめだよ。ちゃんと食べなきゃ。そんなことを言う人もいるかもしれない。 だけど、私は別に特別おなかがすいているわけ…

悪役として――。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:オレだよオレ、悪役 制限時間:15分 僕は父親を亡くした。 見るも無残な姿だった。まだ物心がつくかつかないかという年齢だった僕もあの姿だけは忘れようとしても忘れられない。 父さん…

とりもどす!

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:今の整形 必須要素:入れ歯 制限時間:15分 不細工にすることに定評のある美容外科医がいた。 この医師が手術をするとほとんどの患者は不細工になってしまった。 そんな腕前だから、客…

相手はもちろん何もしゃべらない。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:あきれた村 制限時間:15分 本当にこの村は最低だと思う。 都市部から遠く離れているし、娯楽施設なんてものは何もない。 若者も少なければ、女の子もいない……。 就職難だからといって…

まわりはいつも無反応。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:10の諦め 制限時間:15分 「ねえ、ねえ、もうああきらめようよー帰ろうよー。 絶対ないって絶対。ね? 人生あきらめが肝心。そう思わない? みんな! だってそうじゃん。もう、ずっと探…

開け!

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:見憶えのある抜け毛 制限時間:15分 暇だった……とにかく、暇だった。 そりゃそうだ。仕事も見つけず、ただひたすら自分の部屋にこもっているのだ。 この状況のやつが忙しいわけがない。…

バー。そこはなんでも叶うところ。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:恋の酒 制限時間:15分 俺が足繁く通う一件のバーがある。 別に特別なバーではない。マスターが一人でやってるような小さなバーだ。 この近辺でバーなんて数え切れないくらいあるが、客…

風邪は計画的に。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:刹那の風邪 制限時間:15分 「ついに完成した!」 鈴木が僕の部屋に入ってきた。鈴木は僕の同級生でクラスの中ではバツグンに勉強ができた。「やったよ! 君の言ってた一瞬だけ風邪がひ…

再弱な王者の武道会。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:最弱の勝利 制限時間:15分 僕は決して強い男ではない。 そんなに筋肉質のほうではない。むしろガリガリでとても格闘に向いているタイプではない。 ただ、そんな僕がいざ、格闘の舞台に…

モデルはあの眼鏡の人……。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:不屈の恋 制限時間:15分 私は今日も、一人机に向かう。 机に向かうと言っても別に勉強するわけではない。私が書いてるのは漫画だ。 本当は漫画なんて書いてる場合じゃないのかもしれな…

出会いは嵐の日に……。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:運命の嵐 制限時間:15分 突然の嵐の中、僕は山小屋へと避難したのです。 そこで出会ったのが彼女でした。 彼女は僕と同じように山道で道に迷ったようで、服も髪も濡れていたのです。 …

プロの中のプロ

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:プロの魚 制限時間:15分 僕の仕事はただひたすら水族館の水槽で泳ぐこと。 そして水族館に訪れた人は僕を見て楽しんで、それでお金を落としていく。 言ってみればプロの魚ってやつだ。…

緊張の本番前。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:静かな汗 制限時間:15分 やばい。本当にやばい……。尋常じゃなく汗が出てきている。静かに静かに汗が僕の顔を流れて地面に落ちていく。そして体の震えがさっきから止まらない。 緊張し…

内気な僕の新学期。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:ダイナミックな声 制限時間:15分 「……お、おはよ……ごさいまっ」「はいはい! 声が小さい!」「あの……おはよっご……」「そんなんじゃ聞こえないよ! もっと教室の隅々にまで聞こえるよう…

愉快なババァ。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:愛と憎しみのババァ 制限時間:15分 うちのババァは本当にうるさい。 会社で飲んで帰ってきた時は鬼の形相で怒ってくるし、休みの日にゴロゴロしていると文句しか言ってこない。 そして…

思い出せない危険な任務。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:記憶の衝撃 制限時間:15分 記憶喪失というものは本当にあるらしい。 現に今、俺がそうだから。ふと、眠りから覚めると自分が何者なにかがわからなくなっているのだ。 とりあえず、ここ…

最後の隣人

即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/お題:最後のマンション 制限時間:15分 「……さてと、だいたいは片付いたかな」 目の前には段ボールの山。あらためて片付け終わった部屋を見渡す。 こんな広かったっけこの部屋。 もっと整理整…

それではお友達を……えー!!

お題:今日のゲストは戦争 制限時間:15分 「今日は雨降りましたねー」「「そーですね!」」「今週いっぱいまで雨続くそうです」「「そーですね!」」「今月いっぱい晴れ間が見られないみたいですが」「「そーですね!」」「んなわきゃない! というわけで今…

海の風が嫌い。

俺と海風 制限時間:15分 私はこの時期の風がきらいだ。たくさんの砂が肌にまとわりつくから。 焼けた黒い肌に白い砂利がつくと目立つし、そもそも黒く焼けた肌に砂がつくとものすごく痛い! ただでさえいろいろ体に塗った後だからよけい砂が付きやすくなる……

年末の神様達。

お題:戦争と神様 制限時間:15分 今日も地球上では戦争が行われていた。それを五人の神様がそれをじっと見つめていた。 あるところは領土の問題で――、あるところは人種の問題で――、またあるところは宗教の問題で戦争をしている。 五人の神様はそれをじっと…

私の喜び

お題:私と喜び 制限時間:15分 妻が笑わなくなったのは、私が仕事を辞めてからのことだ。 出会ったころは常に笑顔を絶やさずに、私に対して嫌な顔一つ浮かべたことないような妻だった。 だけど、私が体調を崩していくにつれて、妻は笑わなくなった。時に冷…

怒鳴りつけるのが仕事です。

お題:疲れた川 制限時間:15分 「ふざけんなよ! そんなんで許されると思ってんのかよ」 僕は彼女を怒鳴りつけた。彼女は小さな体を振るわせて脅えている。「おい! なんとか言ったらどうなんだ! 人の肩に当たっといて何にもなしとは良い度胸じゃねえか!…

とある未亡人の一日

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/ お題:嘘の弔い 制限時間:15分 私の仕事は毎日、お葬式に出ることである。 といっても私は尼さんでもないし、葬式の業者さんでもない。 ここにいるお坊さんは、プロではなく私の同僚、隣で…

幸せの時間

彼と一緒に歩く時間が唯一の幸せな時間でした。私が彼といっしょにいること。それだけで十分でした。 現在私達の住む世界は決して治安がいいとは言えません。一日の食べ物もままなりません。いつ殺されるかもわかりません。だから私は彼と一緒に食料を探すの…

鮭チャーハンを食べる動物に恋をした。(2)

* 翌日の夜。 時計は深夜の一時を回っている。 深夜の自室。テーブルの上には、この時間までゆっくりと丹誠込めて冷やした炭酸水。 コンビニで買ってきたその炭酸飲料を飲むために僕は熱い風呂に長時間浸かってきたわけだ。 もう喉はからからでサハラ砂漠状…

鮭チャーハンを食べる動物に恋をした。(1)

やあ。いきなりだけど僕の話を聞いてもらいたい。 ほんのちょっと長くなっちゃうけどね。 今から僕の言うことを文字に起こしたら原稿用紙六十枚程度にはなると思うんだ。 だけど、話を聞くのに疲れたらお茶を飲んだり、寝っ転がったりして休んでくれてもいっ…