すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

真夜中の妨害者

「ねえねえひろえもん、ひろえもん

 深夜一時、僕が自室で勉強しているといつも妨害してくる奴がいる。

「ねえねえひろえも~ん」

 ちなみに僕の名前は「ひろえもん」なんかではない。まあわかってると思うが一応。

「ひ~ろ~え~も~~ん

 ちなみに僕は国民的人気アニメのニート猫型ロボット(大山ボイスの方が望ましい)なんかではない。まあわかってると思うが一応。

「姉さん……いいかげんうるさい」

 このさっきから僕の勉強を妨害している人物は何を隠そう僕の実の姉なのだ。

「ねえひろえもん遊ぼうよ~つまんないよ~」

「知らないよそんなこと。それに僕はひろえもんじゃなくて幹広(みきひろ) って姉なんだからそんなことは知ってると思うけどさ」

「じゃあみきえもん

 それは既に存在していると思う。

「じゃあみきえもん。今からゲームをします」

「拒否」

「じゃあなんのゲームがいいかなあ……」

 人の話はちゃんと聞きましょう。

「じゃあ山手線ゲーム 古今東西県庁所在地の名前~。ハイハイ群馬

 しょっぱなから違えよ。

「あのさ、明日僕は学期末の試験があるわけなんですよ

「ぶ~~。それは県庁所在地じゃありませーん」

 群馬って時点で県庁所在地じゃねえよ。しかも僕答えてないし。

「も~。ひろえもん弱すぎだなあ」

「弱すぎで別にいいんですけど。ねえ、姉さん聞いて。僕、明日、テスト

「……パードゥン

 パードゥンじゃねえよ。

「わかった。わかった。テストね。じゃあ遊ぼうか」

 何がわかったのかをレポート用紙に書いて提出してもらいたい。Wikipediaからの引用は不可。

「大丈夫、大丈夫とりあえず解答欄に『土井たか子』って書いとけば平均点はとれる」

 取れねーよ。

「わかったよーだ。ばーか

「いい大人のいうセリフじゃないと思うよ

「ばーか 眼鏡ばーか

「姉さんも眼鏡かけてるだろ

 

 きーんこーんかーんこーん

 

 僕は寝不足のまま教室の自分の席に座っている。

 結局勉強らしい勉強はできないままテスト当日を迎えていた。

 結局姉さんがずっと邪魔していたせいだ。

 

 

 

「はいじゃあテスト始めます。裏にしてまわしてくださーい」

 心なしか教室に入ってきた新任の先生もなんだか眠そうだ。先生の眼鏡の奥に大きなくまができている。

「じゃあ始めっ

 僕は問題用紙を裏返した。



 問

 

 1993年に女性初の衆議院議長を務め、1996年には社会民主党の党首となるに至った女性政治家は誰か。

 配点(100×



[       ]




 教卓に座っている先生は机に突っ伏して寝ていた。僕の席からは先生の寝顔が丸見えだ。

 先生の寝顔は昨日の夜、僕の勉強をずっと邪魔したあげく、僕の部屋で寝てしまった時の寝顔そのものだ。

 本当にだしやがるとは……。

 僕は解答欄を埋めた。

 濃く大きな字で。



[ 土井たか子 ]