すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

怒鳴りつけるのが仕事です。

お題:疲れた川 制限時間:15分
「ふざけんなよ! そんなんで許されると思ってんのかよ」

 僕は彼女を怒鳴りつけた。彼女は小さな体を振るわせて脅えている。

「おい! なんとか言ったらどうなんだ! 人の肩に当たっといて何にもなしとは良い度胸じゃねえか!」

「ごめんなさい。ごめんなさい!」

 彼女が謝り続けるにつれて、震えがどんどんどんどんましてくる。

「あれぇ! 聞いたことないかなあ……。ごめんですんだら警察はいらねえんだよ!」

 持ち前の強面とドス声でとにかく彼女を怒鳴り続ける。

「すいません。すいません」

 その時だった。彼女の目から涙が溢れて下へと落ちていった。


 よし! 僕は小さくガッツポーズ。

「わかればいいんだよ! 今度から気をつけろ!」

 それだけ言って僕は逃げるように彼女から離れる。彼女の目からは涙がどんどん溢れてくる。

 これで今日の仕事は終了だ。

 後は下界におりて確認したら帰れる。


 下界におりてしばらく待っていると空から雨が降ってくるのがわかった。

 雨はどんどん強くなり、川となり海へと流れる。

 僕はほっと一息ついて、その場に座り込む。

 ……試験勉強の末にやっと入れた役所での仕事がこんなものなんて……。

 下界に来る時に着た制服の「天国河川管理事務所」の刺繍を見てため息をつく。

 疲れるのは下界も天国も変わらないな……。

 そんなことを思いながら、重い足で僕はまた天国へと戻っていった。