すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

愉快なババァ。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/
お題:愛と憎しみのババァ 制限時間:15分
 うちのババァは本当にうるさい。

 会社で飲んで帰ってきた時は鬼の形相で怒ってくるし、休みの日にゴロゴロしていると文句しか言ってこない。 

 そして、未だに我が家では食事の時は家族そろって、しかも正座で食卓を囲まねばならない。今時そんな家庭なんてうちだけだと思うが、これに逆らったら逆らったで非常にめんどくさいから黙って座って飯を食っている。

 これが実家に暮らすサラリーマンの宿命なのかはわからないけど、本当に肩身が狭い。

 一緒に住んでる妹が出来がいいのでさらに肩身が狭い。

 早いところ独り立ちでもしたいところだけれど、まだまだ会社で下っ端なのだからしょうがない。

 今日も今日とてババァに怒られた。

 くそう。自分だってけっこうおっちょこちょいのくせに……。忘れ物なんてしょっちゅうだし……。

 それにこっちにはいろいろ言うくせに、ババァはババァでいつも旅行と称して家を留守にしている。

 まったくいいご身分だ。

 こんなババァだが、なぜか近所では人気がある。

 近所の人に会うたびにいつもババァのことで自分が褒められる。こういう時はなんだか、照れくさいようなむずがゆいような気分になるのだ。

「ねえ! 忘れ物ー!」

 そんなことを考えているうちに当のババァがやってきた。

「ほら全く忘れ物なんかして!」

 怒った様子で僕に忘れ物を渡してくれた。まあこんなババァだがいつも世話になってるのは事実なのだ。

「それじゃあ行ってらっしゃい、カツオ」

「うん、いってきます。姉さん」