すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

内気な僕の新学期。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/
お題:ダイナミックな声 制限時間:15分
「……お、おはよ……ごさいまっ」

「はいはい! 声が小さい!」

「あの……おはよっご……」

「そんなんじゃ聞こえないよ! もっと教室の隅々にまで聞こえるような声で挨拶しよう!」

「……」

 外れくじだと思った。

 新学期は嫌いだ。だっていちいち自己紹介をしなければならないから。

 僕は元々内気で友達も少ないほうだし、声だってそんなに大きく出せない。

 そんな僕にとっていつも自己紹介をする時は憂鬱だ。なんでいちいちみんなの前で話さなければならないんだろう。

「……おっおは……」

「そんな蚊の鳴くような声じゃいつまでたっても終わらないよ!」

「……お! おはようございます!」

 僕はこれ以上声を出したら壊れてしまうくらい大きな声を出した。

「なんだ! やればできるじゃないか! それじゃあ自己紹介を続けて!」

「……はい」

 僕は、大きく深呼吸。そして自己紹介を続ける。

「あ……あの、今度、このクラスの担任に……なることになりました……あの、山田です」

「先生! もっと大きな声で!」

 学級委員長がダイナミックな声を張り上げる。

 ……ああ、やっぱり新学期は嫌いだ。