すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

緊張の本番前。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/
お題:静かな汗 制限時間:15分
 やばい。本当にやばい……。尋常じゃなく汗が出てきている。静かに静かに汗が僕の顔を流れて地面に落ちていく。そして体の震えがさっきから止まらない。

 緊張しているなんてもんじゃない。昨日眠れなかったことも含めて、何がなんだかわからなくなっているのだ。

 あ……なんでこんな役目を引き受けちゃったんだろう。僕は! もしかしたら調子に乗っていたのかもしれない。気安く引き受けることじゃなかったんだよ。どうしよう。もうすぐ本番なのに声が全くでる気配がない……。

「なーに、緊張してんだよ!」

 思い切り背中を叩かれた僕は尋常じゃないレベルで驚いてしまう。

「な、なにするんですか先輩!」

「今ので緊張がとれただろ?」

 ……、そういえば、さっきまで止まらなかった汗がぴったりと止まって、さっきまであんなにがたがた震えていた体もなんだか落ち着いてきたような気がする。

「実は……俺も最初は緊張したんだぜ? 変なこと言って場をしらけさせたらどうしようって……。でもいざやってみたらなんてことなかったよ。お前もこれが終わったら、緊張していた自分を笑い飛ばせるようになってるって」

「……そうでしょうか?」

「みんなここに来たやつは一回は通る道だ。心配するな。なるようになる。なんてったって今日は俺が横についてるんだから」

 そういって僕の隣に座った先輩はにかっと僕に笑って見せた。

 ありがとう先輩……なんだが僕……やれる気がして来ました。

 ――そしてついに本番が始まった。


『いやー、あれだね。今週いっぱいまで寒さが続くらしいですよー』

「「「「そーですね!」」」」