すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

プロの中のプロ

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/
お題:プロの魚 制限時間:15分
 僕の仕事はただひたすら水族館の水槽で泳ぐこと。

 そして水族館に訪れた人は僕を見て楽しんで、それでお金を落としていく。

 言ってみればプロの魚ってやつだ。

 確かに、ずっと狭い水槽で泳いでるのは退屈だけど、野性の魚たちと違って天敵に襲われることもないし、養殖の水槽に泳いでる魚と言って後に食べられることもない。

 俺にとっては天国かもしれない。おさかな天国……ってやつだ。

 また、客がやってきた。一組のカップルが僕に近づいてくる。僕は優雅に泳いで客にアピール。僕にだけ見せてくれるあの笑顔、それがあれば僕は何もいらない。まさに僕は魚のプロだ。


「ちょっと……笑いすぎだって!」

「いや! あれは笑うって! だって水槽に『ヒト』って書いてあって、まさか本当に人が泳いでると思わないじゃん!」

「それも、私たちが近づく前、一人でなんかぶつぶつ言ってたしね!」

「いやー、本当に笑った。あの人は本当にプロだね!」

「プロだけど水族館に人が泳いでる意味が全くわからないけどね」