すみやきの小説置場

小説を書き始めた18歳から三十路の今に至るまでのすみやきの小説置場

悪役として――。

「即興小説トレーニング」にて執筆。http://sokkyo-shosetsu.com/
お題:オレだよオレ、悪役 制限時間:15分
 
 僕は父親を亡くした。

 見るも無残な姿だった。まだ物心がつくかつかないかという年齢だった僕もあの姿だけは忘れようとしても忘れられない。

 父さんはワルモノに殺された。大きな大きなやつに殺された。

 大きな大きなやつは何度も何度も父親を踏みつけた。もう死んでるのはわかってる。

 誰もがそう思ってもワルモノは父親を踏みつけるのをやめなかった。

 100回は踏んだだろうか。満足した表情でワルモノは姿を消した。

 泣いた。涙が出ないくらい泣いた。

 父を亡くしたという悔しさと何も出来ない自分へのいらだちがあふれ出てきて、僕は叫ぶことしかできなかった。

 言葉になんてできなかった。


 僕はそれからワルモノを倒すことだけを考えてきた。

 大きな大きなワルモノの足をよけるために瞬発力を鍛えた。

 大きな大きなワルモノに対抗するには自分で捨て身の攻撃をするしかない。

 毎日毎日壁にあたって特訓した。


 そして、ワルモノはやってきた。

 僕は必死につっこんだ。もう命なんて惜しくなかった。ただワルモノを倒しさえすれば――。


 ただ今回のワルモノは踏んづけてはこなかった。

 その代わりに僕の方にやってきたのは炎だ。


 なすすべがなかった。


 俺はだんだん体が焼け焦げてるのがわかった。

 目の前には巨大な赤い帽子で髭の男がいつまでも立ちすくんでいた。